「黄金の茶室って何?」
「秀吉はどうやって黄金を集めたの?」
「豊臣政権の経済基盤について知りたい!」
この記事をご覧の方はそのようにお考えかもしれません。
黄金の茶室は秀吉がつくらせた組み立て式の茶室です。
室内の随所に黄金をちりばめた豪華な茶室だったので、黄金の茶室とよばれました。
秀吉がこれだけの金を集めることができたのはこれまでの戦国大名にはない全国支配の仕組みを整えたからです。
全国の重要都市や金銀山を自分のものにすることで、これだけ豪華な茶室を作ることができました。
今回は豊臣秀吉がつくった黄金の茶室や、彼の経済基盤などについてまとめます。
秀吉がつくった黄金の茶室とは?
豊臣秀吉は天下統一を成し遂げると、日本全国の富を自分に集中させました。
その象徴となったのが「黄金の茶室」です。
黄金の茶室は畳三畳ほどのもので、室内の随所に金を使った豪華絢爛たるものでした。
しかも組み立て式のため、移動させることが可能です。
実際、秀吉はこの茶室を正親町天皇の住む御所や北野の大茶会の会場にもちこみ、自分の権勢を示しました。
部屋のしつらえのありとあらゆるところに黄金を用いた茶室はまばゆいばかりの光を放っていたことでしょう。
秀吉はこれほどの金をどのようにして手に入れたのでしょうか。
豊臣秀吉の財政基盤
秀吉政権の財源を三つに分けて考えてみましょう。
全国各地に設置された直轄領(蔵入地)
一つ目は、約200万石の直轄地です。秀吉は近畿地方を中心に、全国各地に直轄領を作りました。
直轄領は、経済的に重要な場所にピンポイントでおかれます。
例えば、九州でいえば貿易の中心地である博多が直轄領でした。
また、島津氏の領国内の直轄地である加治木や佐竹氏の領国内の直轄地である那珂湊も国内経済の重要地点です。
金銀山の直轄
二つ目は全国各地の金山・銀山などからの収入です。
秀吉は佐渡金山や生野銀山、石見銀山などの重要な鉱山を直轄地に組み入れました。
戦国時代の日本は空前のゴールド・シルバーラッシュ。
各地の鉱山から取り出された金銀は戦国大名の軍資金となっていました。
秀吉は、天下統一後に金銀山を差し押さえ、自分のものとします。
黄金王というのはたとえ話ではなく、本当に秀吉が大量の金を持っていたから就いたあだ名なんですね。
秀吉は直轄金銀山から得た金銀で貨幣を作らせます。
もっとも有名なのは天正大判でしょう。
天正大判は金73.84%、銀26.16%でつくられた大型の金貨幣。
いつも使うお金というより、金の延べ棒に近い感覚だったでしょうね。
秀吉がつくらせた天正大判は全部で15万枚近く。
現存しているものは多くないので、金としての価値に加え、骨とう品としての価値も加算されますよ。
重要都市の直轄と豪商の利用
三つ目は重要都市の直轄と豪商の利用です。
博多や加治木、那珂湊のほかに大坂、京都、堺、伏見、長崎などが秀吉の直轄領となりました。
これらの都市から吸い上げられる税も秀吉政権の重要な財源です。
これらの町に住む豪商たちは秀吉政権と密接な関係を持ちました。
その代表が千利休や小西隆佐、島井宗室、神屋宗湛です。
豪商たちは豊臣政権に資金提供する見返りに、商売上の自由や特権を認められました。
秀吉を支えた石田三成ら官僚たち
先祖代々の家臣を持たなかった秀吉は、優秀な人物に片っ端から声をかけてスカウトしました。
秀吉がスカウトした人材は2つのグループに分けられます。
一つは、賤ヶ岳の戦いで活躍した七本槍に代表される子飼いの武将たち。
もう一つのグループは、秀吉が北近江を所領としていた時にスカウトした官僚・武人の集団です。
その代表はなんといっても石田三成でしょう。
石田三成らは武将というよりは官僚として秀吉の天下統一に活躍します。
三成の能力がいかんなく発揮されたのは秀吉の九州征伐の時でした。
1587年に始まった秀吉の九州征伐は非常に短期間で終結します。
その原動力となったのが、石田三成ら優秀な官僚たちでした。
彼らは、大軍を動員・輸送するにあたって緻密に計算。
現場が動きやすいように物資を動かしました。
三成たちの力は秀吉が勢力を拡大するにつれ、重要なものとなります。
まとめ
秀吉が作り上げた黄金の茶室は人々の目を開かせるほどの絢爛豪華なものでした。
秀吉がこれほど豪華な茶室を作ることができたのは、強大な経済基盤を持っていたからです。
経済上の重要地点や金銀山を支配することができた秀吉だったからこそ、黄金の茶室を作ることができたのでしょう。
豊臣政権が作り上げたシステムは、次の江戸幕府にも引き継がれます。
太閤検地や金銀山の直轄などは、幕府にとっても重要な政策だったからです。
黄金王秀吉が蓄えた金銀財宝は、豊臣氏滅亡後、行方が分かっていません。
徳川幕府によって接収されたのか。
大坂落城前に別な場所に移されて「埋蔵金」となったのか。
非常に興味深い謎です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。