「お金ってどんな歴史があるの?」
「お金ってどんなもの?」
このページをご覧の皆さんはそのような疑問を持っているかもしれません。
お金は物々交換から始まり、金属貨幣や紙幣が登場することでどんどん便利になりました。
お金には「価値の尺度」「交換の手段」「価値の保存」という3つの役割があります。
今回はお金の歴史や役割についてわかりやすく解説します。
お金とは?
現代の私達の生活で必要不可欠なものが「お金」です。
お金は、いつ、どのようにして生まれたのでしょうか。
お金が生まれるまでの物々交換や金属などで作られた貨幣、紙で作られた紙幣などについてまとめます。
物々交換の時代
狩猟採集の時代、日本でいうなら旧石器時代や縄文時代から物々交換が行われていました。
このころ、価値が高かったものは鋭い石器を作るための石である黒曜石や宝石の一種であるヒスイなどです。
鉱物は成分を分析するとどの土地で採掘されたものか判別がつきます。
日本の代表的な黒曜石の産地は北海道の遠軽町や長野県の和田峠。
これらの地域で採取された黒曜石は全国各地で発見されます。人の手によって運ばれたからです。
ヒスイ(翡翠)は深緑で半透明な美しい宝石です。
日本だけではなく、中国や中南米でも宝石として珍重されました。
ヒスイも黒曜石と同様、日本各地の遺跡で出土しました。
これらのことから、お金が登場する以前であっても貴重な品々は人々の間で交換され、広範囲を移動していたことがわかります。
金属貨幣の登場
紀元前7世紀ごろ、小アジアにあったリディア王国ではじめての金属貨幣であるエレクトロン貨が使用されました。
こうした金属貨幣は硬貨とも言われます。
現代日本でも、1円、5円、10円、50円、100円、500円は硬貨ですね。
古代において、硬貨には金・銀・銅などが使用されました。
これらの金属は希少性があり、磨耗にも強く、価値が安定してからです。
特にヨーロッパでは金貨や銀貨が多く用いられました。
一方、日本や中国では銅貨が中心です。
これに加え、布帛が貨幣の役割を果たしました。
日本は和同開珎など皇朝十二銭とよばれる銅貨が発行されましたが、信用が低くあまり流通しませんでした。
そのため、奈良時代・平安時代の中期くらいまでは布帛が貨幣の役割を果たしました。
日本で金属貨幣の使用が一般的になるのは平安時代の末期。
平清盛が行った日宋貿易で大量の宋銭が日本に入ってきてからです。
中国との貿易で宋や明の銅銭が大量に入り込むことで日本の貨幣経済が発展しました。
戦国時代になると、大名達が独自の通貨を発行する例が見られます。
また、戦国時代には金や銀の採掘量が増えます。
こうして、日本でも欧米のように金・銀・銅の貨幣が流通する時代がやってきました。
巨額の黄金を蓄えた豊臣秀吉について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
江戸時代、幕府が置かれた東日本では小判を中心とする金中心の貨幣経済が生まれます。
それに対し、大坂を中心とする西日本では丁銀を中心とする銀中心の貨幣経済がうまれます。
紙幣の登場
紙幣は金属貨幣よりもだいぶ遅れて登場しました。
最も古く、かつ、最も広範囲で使われたのは北宋時代の交子で今から1000年近く前の紙幣です。
その後、金や元では交鈔、南宋では会子とよばれる紙幣が使われます。
政府の財政赤字のニュースなどを見たとき、「たくさん紙幣をすればいいんじゃない?」と思ったことはありませんか?
元の時代、お金が足りなくなった政府は、本当に紙幣をすりまくってしまいました。
その結果、紙幣の価値は大暴落してしまいました。
明や清の時代には紙幣よりも銀が貨幣の中心となりました。
紙幣が脚光を浴びるのは近代に入ってから。
国が持っている金や銀と必ず交換できる紙幣(兌換紙幣)が登場してからです。
ところが、兌換紙幣だと持っている金や銀の量以上に紙幣を発行できません。
そのうち、各国は持っている金や銀以上に紙幣を発行します。
こうして、保有する金や銀と必ず交換できるわけではない不換紙幣が発行されるようになりました。
不換紙幣の最大の弱点は、国の信用がなくなると紙幣が紙くず同然の価値しかなくなること。実際、第一次世界大戦で敗北したドイツのマルクは「パピエルマルク(紙のマルク)」と呼ばれるほど価値が低下します。
ハイパーインフレについては、下の記事に書きましたので是非ご覧ください。
現在は、各国の中央銀行が紙幣の発行量や金利を調整し、紙幣の価値がなくならないよう管理する管理通貨制度で紙幣の価値を守っています。
お金の持つ3つの役割
現在、私たちは当たり前のように「お金」をつかっています。
では、「お金」にはどのような機能があるのでしょうか。
「お金」が持っている3つの機能についてみてみましょう。
価値の尺度
私たちは買い物をするときに、「値段」を見ますよね。
キャベツが1玉100円とか、リンゴが1個150円といったように、お店で売られている品物には「値段」が付けられています。
これにより、私たちはキャベツとリンゴの値段を比較し、どちらが高いか、安いかを判断することができます。
また、同じキャベツでも、A県産は100円、B県産は80円などというように値段をつけることで同じ品物どうしの価値を比較することができます。
いわば、お金はモノの価値をはかる基準。
サービスや品物の価値を決める物差しとしてお金が機能します。このことを、「価値の尺度」といいました。
交換の手段
物々交換の時代、最も困るのが交換する条件をすり合わせることです。
AさんはBさんがもつ魚が欲しい。
BさんはAさんが持つ大根が欲しいとします。
このとき、Aさんは大根1本で魚1匹と交換しようとしましたが、Bさんは大根3本でないと交換しないといいました。
結局、AさんとBさんは欲しいものが一致していたのに取引が成立しません。
もし、お金があったらどうなるでしょうか?
例えば、魚が500円、大根が250円で販売していたとします。
そうすると、Aさんは500円出せば魚を手に入れることができ、Bさんは250円を出せば大根を手に入れることができます。
モノをいったんお金に換えると、お金を使って別な欲しいものを買うことができました。
お金の持つ交換や支払いの機能を「交換の手段(決済の手段)」といいます。
価値の保存
大昔、狩りを行い、鹿を仕留めたとします。
鹿の肉は燻製にしたり、塩漬けにしたりしてある程度保存できますが、ずっと手元に置くことはできません。
なぜなら腐ってしまうからです。これは、農産物や魚でも同じことですよね。
しかし、お金であれば腐ることなく貯めることができます。
ため込んだお金で、必要な時にモノを買うことができます。
このような機能を「価値の保存」といいました。
現在、貨幣価値を維持する役割を担っているのは日本銀行です。
日本銀行は、1880年代前半に行われた松方財政のなかで生み出された日本の中央銀行です。
松方財政について知りたい方は、こちらの記事もどうぞ
まとめ
貨幣経済が大きく発展した現在、お金を持っていれば世の中で大抵のことが実行可能です。
その意味で、お金は人を自由にするといってもよいでしょう。
しかし、お金にばかり囚われ精神的に追い詰められる可能性や借金をして自由を失う可能性もあります。
お金を上手に使うために、私たちはもっとお金について知るべきではないでしょうか。
お金は汚いものではなく、自由を手に入れるために必要なツールと考えもよいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。