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「朝鮮王朝って何?」「服の色で身分がわかる?」「代表的な国王は?」朝鮮王朝の基本知識をまとめました!

朝鮮王朝とは?

朝鮮王朝の身分制度はどうなっているの?

朝鮮王朝の有名な国王は?

 

このページをご覧の皆さんはそんな疑問を持っているかもしれません。朝鮮王朝は1392年に李成桂を始祖とします。そして、500年以上にわたって朝鮮半島を支配しました。

 

朝鮮半島の支配階級は「両班(ヤンバン)」と呼ばれています。儒教を身に着けた士林とよばれる人々が中心となり政治を動かしました。

 

近年、日本でも多くの韓国歴史ドラマが放映されるようになりました。李成桂を主人公とした『大風水』、世宗を主人公にした『世宗大王』、中宗が登場する『チャングムの誓い』、正祖を主人公にした『イ・サン』などがその代表です。

 

同じ王朝を舞台としている歴史ドラマならば、共通項がたくさんあるはず。階級や社会制度、思想など同じ時代の「お約束」をしっかり理解すれば、もっと韓国の歴史ドラマを楽しめること間違いなし!

 

今回は、朝鮮王朝の基礎知識である建国事情や思想・文化、身分制度、国王が登場する代表的なドラマなどについてまとめます。

 

 

 

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<a href="https://www.photo-ac.com/profile/370014">TECHD</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

朝鮮王朝の建国

 

朝鮮王朝を開いた李成桂は、それまで朝鮮半島を支配してきた高麗王朝の武人です。高麗王朝は中国を支配していた元との戦いに敗れ、元に服属していました。

 

14世紀後半、高麗国内では元に従うべきか、新しく中国に起こりつつあった明と手を結ぶべきか国論が割れます。

 

同じころ、朝鮮半島は日本から攻め込んでくる倭寇によって沿岸部を荒らされていました。高麗王朝には倭寇を防ぐ力はなく、沿岸部は倭寇の成すがままにされ荒廃します。倭寇討伐で実績を上げ、高麗王朝で人望を集めたのが李成桂でした。

 

李成桂は高麗政府の命令で国境付近の明軍を攻撃するよう命じられます。軍を率いた李成桂は、水位が増していた鴨緑江(国境の川)の渡河を断念。軍を都に返し、そのままクーデタを起こして政治の実権を握りました

 

1392年、李成桂は高麗最後の王から王位を譲り受け、国王に即位します。これが、朝鮮王朝の始まりです。

 

 

朝鮮王朝時代の思想・文化

 

朝鮮王朝は儒教を中心とした国づくりをおこないます。これは、初代国王李成桂が崇儒廃仏の政策をとったからですね。

 

李成桂が仏教を弾圧した理由は、前の王朝である高麗が仏教を厚く信仰していたことがあります。人心を一新するためにも、新しい価値観として儒教、特に朱子学を重視したのでしょう。

 

朝鮮王朝の支配階級である両班は、朱子学的な教養を身に着けることが必須でした。4代国王世宗(セジョン)の時代、韓国独自の文字であるハングルのもととなる訓民正音がつくられました

 

しかし、朝鮮王朝時代は漢字が重んじられ、ハングルが公文書に用いられることはありません。

 

朝鮮王朝時代、民間教育は不振だったので、ハングルはあまり普及しませんでした。ハングルが普及するのは日本による植民地化以後のことです。これは、意外ですね。

朝鮮王朝時代の身分制度

朝鮮王朝時代には、大きく分けて4つの身分が存在していました。支配者階級である両班(ヤンバン)。おもに地方行政を担った専門職である中人(チユンイン)。一般的な平民である常人(サンイン)。奴隷など常人如何に位置付けられた賎人の4つです。

 

両班は高麗王朝以来の支配階級。文官である文班と武官である武班の二つに分けられました。そのうち、両班は官僚というより、支配階級全体をさすようになります。

 

中国では官吏登用試験の科挙が行われていました。朝鮮王朝でも、中国王朝と同じく科挙が実施されます。科挙で合格した人々は中央政府の官僚として国王に仕えました

 

科挙で合格し、中央政府で大きな力を握った人々を士林(知識人の集団)といいます。士林は、王族や保守派官僚を強く批判することもあったため、たびたび弾圧されました。韓国の歴史ドラマの中でも、しばしばそういう場面に出くわします。また、士林の中でも主導権争いが絶えませんでした(党争)

 

朝鮮王朝に官僚として勤める役人たちは、服の色などによって位を見分けることができます。もっとも高位に位置付けられているのが赤い服の官僚たち。正三品堂上官以上の高級官僚が赤い服を着ています。赤い服の役人=偉いと思って間違いないですね。

 

次に位置付けられているのが青い服の官僚たち。正三品堂下官から従六品までの中堅官僚たちが青い服です。正七品から従九品までが緑の服。下級官僚が身に着ける服の色が緑でした。

 

宮中に仕える女官たちも服の色で階級がわかりました。高い位から順に、薄紫の上着に藍色のスカートの尚宮。淡い赤の上着に藍色のスカートの尚儀。薄いピンクの上着に青いスカートの見習い女官。といった具合に、一目で見分けることができました。

 

ちなみに、朝鮮王朝では工業があまり発達していなかったため、染め物の技術も未発達だったようです。そのため、美しい色合いで染められた服は中国からの輸入品の布で織られていました。赤の官服のように、色鮮やかなものは高位高官しか着られなかったのも当然のことですね。

 

 

事大主義に代表される朝鮮王朝の対外姿勢

 

事大主義とは小(朝鮮)が大(中国王朝)に仕えるという外交方針の事明王朝が存続している間は明に、清が明にとってかわると清に従うことで国の安全を保ちました。

 

朝鮮王朝は中国皇帝からの使節を迎えるための施設「慕華館」を建設。皇帝の使者を手厚くもてなしました。

 

それに対し、日本に対してはそれぞれの時代の状況や支配者によって対応が異なりました。室町時代倭寇がしきりに侵入してきたときには倭寇の根拠地とみなした対馬朝鮮軍が襲撃したこともありました。

 

豊臣秀吉が明を攻めるために協力せよといってきたときには拒否。明軍とともに豊臣軍と戦っています。

 

江戸幕府が成立すると、対馬の宗氏を仲立ちとして対等な関係を結びます。朝鮮からは朝鮮通信使が江戸に派遣されるなど、江戸時代を通じて交流を持ちます。

 

 

オススメの歴史ドラマ4選と登場する朝鮮国王

 

朝鮮王朝500年の歴史を扱った韓国の歴史ドラマは数多くあります。その中でも、個人的におすすめの歴史ドラマと朝鮮国王についてまとめました。

 

建国者李成桂を主人公とした『大風水』

 

高麗王朝最後の王から王位を譲り受けることで朝鮮王朝を創始した李成桂。高麗王朝の末期は社会が混乱し、元や倭寇の襲撃により朝鮮の人々は苦しんでいました。新たな指導者として期待される李成桂は風水の力を借りて朝鮮の王となります。

 

中国発祥の風水と、新しい国の成立をからめた作品です。ちなみに、今の韓国の首都であるソウルも風水によって選ばれた都なんですよ。

 

4代国王世宗の生涯を描いた『大王世宗』

4代国王の世宗は、父の在世中はその補佐を受けて政治を行い、父の死後は親政を行いました。世宗は宮中に学問所である集賢殿を設置。有望な儒学者や外国人、能力があれば官奴も所属して研究を行いました。

 

世宗は朝鮮独自の文字であるハングルを作ったことでも知られていますね。世宗は韓国ではとても有名で、イメージが固定されているきらいがありました。そのため、ドラマ化は難しいとみられていましたが、世宗の生涯を丹念に追うことで見ごたえのある長編ドラマとなります。

 チャングムの誓い』で主人公のチャングムが仕えた11代国王中宗

チャングムの時代、実は朝鮮王朝は危機的な状態にありました。朝鮮史上最悪の暴君とされる燕山君が国王として政権を握り、士林派を弾圧していたからです。

 

1506年、クーデタにより燕山君が廃され中宗が即位しました。中宗が即位しても、朝鮮王朝内での権力闘争(保守派である勲旧派と士林派の対立)は絶えず、非常に不安定な治世を送ります。『チャングムの誓い』の中でも、この権力闘争はたびたび顔をだします。

 

22代国王イ・サンの生涯を描いた『イ・サン』

 

イ・サンは、日本の江戸時代中期に国王として朝鮮に君臨した人物です。日本史では、田沼意次松平定信と同時代人ですね。

 

朝廷内の派閥闘争が描かれるのは他の歴史ドラマと同じです。これまで紹介した作品に比べると、主人公であるイ・サン自身が剣をふるって戦うシーンがあるなど、かなりアクティブなドラマなんです。

 

その理由は、イ・サンが常に反対者から命を狙われていたからでした。無事即位しても、イ・サンを狙う暗殺者は手をかえ品をかえ、イ・サンの命を狙い続けます。実際のイ・サンは官僚たちの力を抑え、国王中心の政治を目指しますが志半ばで死去。イ・サンの死後、朝鮮王朝は外戚が権力を握る勢動政治へと移行しました。

 

まとめ

 

李成桂に始まる朝鮮王朝は500年もの長きにわたって朝鮮半島に君臨した王朝でした。朝鮮王朝では儒教が重視され、両班とよばれる階級が支配者層となります。朝鮮王朝の官僚たちはランクによって着る服の色が決まっていました。特に、赤い服を着ている官僚は高級官僚ですよ。

 

朝鮮王朝にとって最も重要な国は中国(明や清)中国からの使者は最上級のもてなしをされました。オススメの韓国歴史ドラマは『大風水』、『大王世宗』『チャングムの誓い』、『イ・サン』

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

 

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