「トンボロって何?」
「日本で有名なトンボロは?」
この記事をご覧の皆さんはこのようなことをお考えかもしれません。
トンボロとは陸繋砂州と訳される地形です。
陸繋島とよばれる島と対岸の陸地をつなぐ砂州をトンボロとよびました。
北海道函館市、神奈川県藤崎市の江ノ島、和歌山県串本町の潮岬をとりあげ、日本におけるトンボロの実例を紹介します。
地理や地政学について知りたい方はこちらの記事もご覧になってください。
出典:【伊豆】堂ヶ島・トンボロ現象 - No: 1239250|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
トンボロとは?
出典:トンボロ現象 - No: 4256571|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
トンボロの語源と意味
トンボロはラテン語で土手を意味するtumulusを語源とするイタリア語です。
意味は
陸繋砂州ともいう。陸地と島とをつなぐ砂州。海岸からそれほど離れていない距離に島があると,海流の浸食,運搬作用によって運ばれてきた岩屑が陸地と島の間に堆積し,細長く低平な砂州を形成して両者をつなぐ。
こうした海中にある障害物に砂がたまって砂州をつくる現象をトンボロ現象といいます。
トンボロと陸繋島の違い
出典:Tombolo - Wikipediaを一部改変
トンボロは日本語では陸繋砂州といい、トンボロによって対岸の陸地とつながった島のことを陸繋島といいます。
海岸近くの島の付近では、波が弱まり砂がたまりやすい海域ができやすいです。
この波の静かな海域で砂がたまって陸繋島と対岸の陸地をつなぐ砂州になるのです。
ちなみに、トンボロの形成が不十分な場合、干潮時には陸繋砂州によって対岸とつながった陸繋島に、満潮時には陸地から切り離された島になることがあります。
この状態からトンボロに成長することもあれば、海流などにより陸繋砂州が削られ、
島になるかもしれません。
トンボロと砂嘴(さし)・砂州は何が違う?
トンボロは陸繋島と対岸の陸地の間にできる砂州(陸繋砂州)です。
それに対し、砂嘴は
半島や岬に続く砂の堆積によってでき,海に突き出た低平な細長い堆積地形。海岸線が屈曲していて,一方の海岸から砂が運ばれると,砂の堆積部分が海面上に現れる。鳥のくちばし (嘴) のような形を呈することが多いので砂嘴という。
出典:砂嘴とは - コトバンク
海岸付近の沿岸流に沿って砂が一直線に連なります。
その先端部分は内湾側(おおむね、海岸方向)に曲がります。
また、砂州は
砂嘴 (さし) が延びて潮流の出入口だけを残すか,湾の口をふさぎ対岸へ達した細長い砂礫の堆積地形。
出典:砂州とは - コトバンク
砂嘴が成長し、湾の入り口をふさいでしまった地形です。
出典:天橋立 - No: 4161329|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
島を陸につなぎとめるトンボロ。
沿岸流に沿って伸び、先端部が曲がっているのが砂嘴。
おおまかにはそのようにいえるでしょう。
ちなみに、砂州によって外海と隔てられた湖のことを潟湖といいます。
わかりやすい潟湖の例は北海道のサロマ湖です。
日本のトンボロ3選
北海道函館市
出典:函館山夜景夜明け前 - No: 5070007|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
函館市は夜景で有名な街です。
出典:地理院地図 / GSI Maps|国土地理院(対象部分をトリミングして作成)
函館の市街地は陸繋島である函館山と対岸の北海道本島との間にできたトンボロ上にあります。
写真手前側が陸繋島である函館山。
夜景として輝いている中央部のくびれがトンボロです。
神奈川県藤沢市江の島
画像は江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した洋画家高橋由一が描いた江ノ島です。
江ノ島のトンボロの様子が非常によくわかります。
出典:地理院地図 / GSI Maps|国土地理院(対象部分をトリミングして作成)
陸繋島である江ノ島は、対岸とトンボロによってつながりました。
満潮時には高橋由一の絵のように歩いて渡ることができました。
現在は江ノ島大橋がかけられ、常時行き来が可能です。
江ノ島の近くに腰越という地名があります。
ここは源義経が兄源頼朝の怒りをかって足止めされた満福寺という寺がある場所です。
義経は頼朝側近の大江広元に「腰越状」という弁明書を送って怒りを解いてもらうよう願いました。
しかし、頼朝は義経を許さず、鎌倉に入ることを許しませんでした。
江ノ島といえば最近有名なのがたこせんべい。
タコを丸ごとプレス焼したたこせんべいは薄くて大きく、香ばしいのが特徴。
和歌山県串本町潮岬
出典:地理院地図 / GSI Maps|国土地理院(対象部分をトリミングして作成)
和歌山県潮岬は函館と同じくトンボロ上に町が発展しました。
出典:潮岬の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK
陸繋島部分の南西の端に潮岬灯台があります。
明治6年から航路の安全を見守ってきた灯台は、白亜の美しい姿を今にとどめています。
海に囲まれた串本町は豊かな海産物に恵まれています。
そんな串本町で注目の魚が「幻の高級魚」といわれるクエ。
大きなものだと1m以上に成長するクエは単体で行動するためまとまった漁獲が難しい魚です。
そのため、流通量が少なく、地元で消費されることが多いのです。
串本町沖といえば、エルトゥールル号遭難事件が発生した場所です。
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1890年にエルトゥールル号が日本を訪れた際、串本町の沖で難破。
これにより500名余のトルコ軍兵士が亡くなりました。
しかし、沿岸の串本町民の懸命の救助活動により69名を助けることができました。
このエルトゥールル号遭難事件で救出活動は日本とトルコの友好の礎となっています。
まとめ
海流の影響によりつくられたトンボロは美しい景観を生み出しました。
国内にトンボロ地形は多数ありますが、今回は函館市、江ノ島、潮岬の3カ所をとりあげました。
この記事を読んで、トンボロがどのような地形かなどの疑問が少しでも解消できたらうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。