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「地政学って何?」「地政学を学べる大学はあるの?」「地政学のわかりやすい本は?」元予備校講師が解説!

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地政学って何?

地政学を学べる大学はあるの?

地政学についてのわかりやす本は?

 

このページをご覧の皆さんはそのような疑問を持っているかもしれません。

地政学とは、

国の政策を、主として風土・環境などの地理的角度から研究する学問。

出典:『精選版 日本国語大辞典

と定義される学問です。

つまり、地理的条件から政治や軍事、経済を見る学問といえるでしょう。

第二次世界大戦以前は、日本でも盛んに研究されていましたが、戦後には戦争につながりやすい学問として忌避される傾向が強まり、「地政学」を看板とする学部・学科は見当たらなくなりました。

しかし、冷戦後の混とんとした情勢で地政学は見直されつつあります。

今回は、地政学とは何か、地政学に近い内容を学べる学部・学科は何か、地政学についてのわかりやすい本などについて解説します。

 

写真AC

地政学とは何か

地政学とは地理的な条件から政治・経済・軍事・外交などについて研究する学問分野で、「地政学」の名を初めて用いたのはスウェーデンチェーレンでした。

チェーレンは、国家の生存に必要なのは力であり、法や秩序は力あってこそだと考えます。

チェーレンの地政学を大成させたのがドイツのハウスフォーハーでした。

彼は自然地理学と政治の相互関連を主張します。

のちに、ハウスフォーハーの教え子であるルドルフ・ヘスヒトラーの側近となったため、彼の地政学ナチス・ドイツにも影響を与えたといいます。

第二次世界大戦後、敗戦国であるドイツや日本では地政学の研究が止まってしまいました。

かわって、アメリカで盛んに地政学研究が行われます。

地政学で重視される2つのパワー

ランドパワー

イラストAC

ランドパワーとは、イギリスのマッキンダーが主張した考え方です。

広大な陸地を支配しているロシアのような国をランドパワーの国と考え、海軍では攻め込めない大陸の中心部を「ハートランド」と呼びました。

ハートランドを持つ大国は、周辺地域(リムランド)を支配するため拡張します。

ハートランドを持つロシアのような陸軍中心の大陸国家を「ランドパワー」の国と考えるとよいでしょう。

ロシアはハートランドの周辺にあるリムランドに勢力を拡張します。

ロシアにとってのリムランドは東ヨーロッパ諸国です。

リムランドへのロシアの侵攻例として独ソ不可侵条約での西方への領土拡大やフィンランドへの侵攻があげられます。

リムランドについて知りたい方はこちらの記事もどうぞ!

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独ソ不可侵条約に付随する秘密議定書で、ソ連バルト三国ポーランド東部がソ連の勢力圏であるとドイツに認めさせました。

同時に、隣国フィンランドを圧迫し、冬戦争に突入しました。

冬戦争やフィンランドの歴史について知りたい方は、こちらの記事もどうぞ!

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ソ連第二次世界大戦で勝利したのち、リムランドである東ヨーロッパ諸国を間接的に支配しました。

また、ロシアは「南下政策」を行い、他のリムランドへの拡張を図りました。

ロシアの南下はイギリスの重要植民地を脅かしたので、19世紀を通じてロシアとイギリスは対立。

二人の巨人が世界をかけて争う「グレートゲーム」が展開されました。

 

シーパワー

イラストAC

シーパワーとは、アメリカのマハンが提唱した考え方です。

マハンは、海を制することで世界を制することができると考えました。

かつてのカルタゴやスペイン、イギリスはいずれも海を制することでその時代の覇者となります。

シーパワーの代表たるイギリスは、イギリス本国と最重要植民地であるインドを結ぶ航路を重視します。

そのため、スエズ運河を手段を択ばず手に入れました。

こうした海上交通のルートをシーレーンスエズ運河のような重要地点をチョークポイントといいます。

イギリスは他にも南アフリカマラッカ海峡など、世界でも重要なチョークポイントを手中に収めました。

イギリスが「七つの海を支配した」と称されるのも理由がないことではないのです。

ちなみに、チョークポイントの一つであるボスポラス海峡を有するトルコは、ロシアやイギリスの干渉を受けました。

トルコの歴史に関心がある方はこちらの記事もどうぞ!

 

kiboriguma.hatenadiary.jp

 

地政学に近い内容を学べる学部・学科とは

地政学は19世紀に盛んだった「帝国主義」を象徴するような学問です。

どうしても戦争とかかわりがある学問分野でした。

そのため、第二次世界大戦後の日本では地政学を看板に掲げる大学はなくなります。

しかし、大学で全く地政学を学ぶことができないというわけではありません。

ここでは、地政学の関連分野について紹介します。

国際関係学部

国際関係学部は国と国との関係の相互理解を目指す学問です。

地政学が政治や経済などの「力」に注目するのに対し、国際関係学部では「人間」に注目して世界を理解しようとする学問です。

ただ、相手を理解するには相手国の風土や歴史を知る必要があります。

その意味で、理解の手法として地政学的観点は有効かもしれません。

参考:国際関係学|学問・大学情報|マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報

地理学部

地理学は自然と人間生活との関連を明らかにする学問です。

自然を中心に扱う自然地理と、人間の活動を中心に扱う人文地理学があります。

ある意味、自然地理と人文地理を組み合わせ、それに軍事・経済の観点を加えると地政学になるともいえますね。

参考:地理学|学問・大学情報|マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報

地理学について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!

kiboriguma.hatenadiary.jp

まとめ

アメリカでトランプ大統領が当選して以降、国益を前面に出す外交を展開してきました。

理想主義では片付かない問題を、アメリカの力を背景に解決しようとする姿は日本を開国させた当時のペリーをほうふつとさせます。

その後、バイデン政権が成立しましたが、基本的にアメリカの国益を重視する姿勢は変わらないでしょう。

正義や秩序、理想だけでは済まないむき出しの力の衝突。

もしかしたら、21世紀の中頃は後世からそのように評されるかもしれません。

その時に、自国の運命やビジネスを考えるうえで地政学的な発想が必要になると考え、この記事を書きました。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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