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「漁夫の利の意味とは?」「漁夫の利の由来とは?」「漁夫の利の使い方が知りたい!」わかりやすく解説!

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漁夫の利って何て読むの?

漁夫の利の意味とは?

漁夫の利の使い方が知りたい!

 

このページをご覧の皆さんはそのようなことをお考えかもしれません。

漁夫の利とは、「ぎょふのり」とよみます。

意味は

両者が争っているのにつけ込んで、第三者が利益を横取りすることのたとえ。

出典:漁夫の利とは - コトバンク

です。

漁夫の利の由来となったのは『戦国策』という本に書かれている物語でした。

今回は漁夫の利の意味や由来、使い方などについてわかりやすく解説します。

 

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漁夫の利の由来 

「漁夫の利」の時代の中国

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戦国の七雄

古代の中国は周という国でした。

周の力が弱まると各地を支配していた有力者が王を名乗ります。

あちこちで戦いが起き、小さな国は大きな国に飲み込まれ、最終的に7つの国が成立。

これを、戦国の七雄といいます。

 

7つの国は互いに争っていましたが、時に手を結び、時に戦うなど流動的な関係でした。

時代が進むにしたがって、七つの国のうち秦が強大になります。

他の六国は秦の様子を伺いつつ、互いに戦いあって領土を取り合うようになります。

 

秦について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!

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漁夫の利の時代、秦の次に強い国は趙でした。

趙は秦に対抗するためにより弱い燕を攻めようとしていました。

なんとか趙の攻撃を避けたい燕は蘇代という人物を送り込みます。

 

蘇代のミッションは趙の攻撃を中止させるというとても困難なものでした。

果たして、彼はどうやって趙の王である恵文王を説得したのでしょうか。

 

漁夫の利のあらすじと書き下し文

恵文王は蘇代の目的を正確に見抜いています。

と同時に、説得を断り燕に攻め込む気満々でした。

 

正面から和平を求めても応じない。

蘇代もこのことを理解しています。

そこで、彼はある物語を話し始めました。

蘇代、燕の爲に惠王に謂ひて曰はく、
「今者臣來りて(国境の)易水を過ぐ。
蚌(貝)正に出でて曝す。
而して鷸(鳥)其の肉に啄む。
蚌合して其の喙を箝む。
鷸曰はく、
『今日雨ふらず、明日雨ふらずんば、即ち死蚌有らん』と。
蚌も亦鷸に謂ひて曰はく、
『今日出ださず、明日出ださずんば、即ち死鷸有らん』と。
両者相舎つるを肯ぜず。
漁者得て之を并せ擒らふ。

蘇代は、恵文王に自分が見てきた話として次のように言うのです。

 

私が国境の川を渡った時にみたものです。

川沿いで貝が大きく口を開けていると、その肉を食べようと鳥がくちばしを突っ込みます。

食べられたくない貝は口を閉ざしてしまいました。

 

鳥「今日雨が降らないで、明日も降らなければお前は干からびて死んでしまうぞ」

貝「俺が今日くちばしを離さず、明日もくちばしをはなさなければ、食べ物を食べられず、お前は死んでしまうぞ」

 

互いに全く譲りません。

そこに通りかかった漁師が「これはいい。二つとも捕まえよう」と両方をとらえてしまいました。

 

そして、蘇代は続けます。

今まさに、趙は燕に攻め込もうとしています。燕と趙が争えば民は疲弊し、国力が落ちるでしょう。

すると強国の秦が漁師のように趙と燕を滅ぼしてしまうかもしれません。そのことをよくお考え下さい。

 

趙の恵文王は「わかった」といって、燕を攻めるのをやめたといいます。 

 

なぜ、恵文王は遠征を中止したのか?

恵文王は蘇代の言いたいことを即座に理解したのでしょう。

 

とかく、争っている両者は周りのことが見えなくなりがちです。

目の前にある争いに勝つことだけを考えてしまいがちなのです。

しかし、引いた視点で見てみると争いの最中にほかのだれかに利益を独占されることもあるでしょう。

 

目の前の争いにこだわるのは何も王たちだけではありません。私たち一般人も同じです。

そんな時に、「ちょっとまてよ。こんなに争って果たして利益があるかな」と踏みとどまることはとても大事なことです。

 

もちろん、倫理的に争いはよくないと判断し戦わないというのが良いのでしょうけれど、人はそこまで達観した生き物ではないと思います。

自分の利害がかかわると我を忘れてしまいがちです。

 

かつて、フランスとドイツは領土をめぐってたびたび争いました。

互いの首都を占領しあうような激しい戦争も経験しました。

ところが、現在の両国は経済的にも強い結びつきを持っており、正面切って軍事力で争うようなことはなくなりました。

アメリカというより強大な「漁師」に漁夫の利を占められてはかなわないからでしょう。

 

ビジネスの用語でいう「WIN-WIN」の関係をつくることで、争いは止み、第三者に漁夫の利を占められることを避けられるのではないでしょうか。

蘇代の説得法

漢文で、誰かが何かのたとえ話をしているときは大抵、相手を説得しようとしているときです。

当時の説得は命がけ。失敗すれば命はありませんでした。

 

戦う気満々の恵文王に「争いは悪いことだから止めよう」といっても聞く耳を持たなかったでしょう。

だから、関係のなさそうな「漁夫の利」のたとえ話で説得を試みたのです。

 

王の目の前で王の行動や政策を否定するというリスクを回避するためにたとえ話を用いたのです。

「直接言っても聞かないなぁ」という相手に対して、違う角度から説得を試みるのは現代でも有効ではないでしょうか。

 

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漁夫の利の使い方

漁夫の利は、争う二人と得する一人という構図で成り立っています。

しかも、話の元ネタが外交なので、国同士の対立などによく使われます。

 

例文1

「インドとパキスタンが争っていたので、中国が漁夫の利を占めた」

 

外交以外では、こういう使い方もできます。

 

例文2

「ボクと兄がお菓子を取り合ってけんかしている間に、妹がお菓子を食べた。ボクと兄は妹に漁夫の利を得られてしまった」

例文3

「A社とB社が価格競争をしているうちにC社が同じ分野の新製品を開発。シェアを一気に伸ばし漁夫の利を得た」

 

 目先の争いに目を奪われ、より大きな利益を取られないよう注意しましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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