「エネルギー革命って何?」
「エネルギー革命と石油危機は何が違うの?」
「再生可能エネルギーとは?」
このページをご覧の皆さんはそのような疑問を持っているかもしれません。
エネルギー革命とは、
エネルギー資源が急激に交替すること
産業革命後におきた木炭から石炭への交替や、第二次世界大戦後におきた石炭から石油への交替がその代表です。
特に、戦後におきた石炭から石油へのエネルギー革命は日本に大きな影響を及ぼし、石油危機の根本的な原因となります。
近年、環境問題への意識の高まりから再生可能エネルギーへの注目が集まっています。
再生可能エネルギーの普及や、最近新たに登場してきた新エネルギーなどエネルギー事情は大きな転換点を迎えています。
今回はエネルギー革命や石油危機、再生可能エネルギー、新たなエネルギーなどについてわかりやすく解説します。
エネルギー革命とは
エネルギー革命とは、主に使用されているエネルギー源が他の資源に急激に置き換わる現象のことをさすことばです。
人類が社会を作るようになって以来、人々は集住してモノ作りに励んできました。
しかし、それはあくまで手作業によるもので機械を使うものではありませんでした。
それが、産業革命により蒸気機関を使うようになると人々の生活は劇的に変化します。
使うエネルギー源の変化から、エネルギー革命を2つに分けて考えてみましょう。
なお、今回は人類が火を使うようになったことは除いて考えます。
第一次エネルギー革命
産業革命の直後、人々は水力や蒸気の力で機械を動かしていました。
蒸気を発生させるためのエネルギー源となったのが薪や木材からつくる木炭です。
やがて、より強い火力が必要となると、エネルギー源は薪や木炭から石炭へと変化しました。
これを第一次エネルギー革命とします。
第二次エネルギー革命
19世紀後半から20世紀にかけて、新しいエネルギー源として石油が使用されるようになりました。
一般的にはこの石炭から石油へのエネルギー源の転換をエネルギー革命とよびます。
エネルギー源が固形燃料である石炭から液体燃料である石油に変化することで、産業はより一層発達。
石油を燃料とする船舶や自動車、航空機が活躍するようになり、物流量が飛躍的に増加しました。
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日本では1960年代にエネルギー革命が急速に進行。
それまで、黒いダイヤとしてもてはやされた石炭は次第に用いられなくなり、各地の炭鉱が相次いで閉山されました。
長崎県にある端島炭鉱は、島全体が石炭採掘のために開発され、その外観から「軍艦島」の通称で知られています。
首都圏から端島に行くには東京⇒長崎の航空便を使い、その後、長崎市に移動し現地のツアー会社が企画する軍艦島ツアーに参加するのが良いでしょう。
石油危機の影響
日本のエネルギー源が石炭から石油に置き換わった1970年代に、2度にわたって起きたのが石油危機でした。
1973年に第4次中東戦争が勃発。
アメリカがイスラエルを支援していたため、イスラエルと戦うアラブ諸国を支援するため、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)が原油価格を引き上げました。
これを石油戦略といいます。
すると、石油価格がみるみる上昇しました。
石油価格の高騰は石油を中東に依存していた先進国に大きな打撃を与えます。
第4次中東戦争に端を発する1973年の石油危機を第一次石油危機といいます。
第一次石油危機がおきると、日本で物価が高騰します。
もともと列島改造により地価が急上昇していたものに石油危機が拍車をかける形となりました。
1974年の物価上昇率は23%となり、「狂乱物価」という言葉さえ生み出しました。
物価を引き下げるため、日本銀行は銀行への貸出利率である公定歩合を引き上げました。
そのため、景気が悪化し、高度経済成長が終わりを迎えます。
トイレットペーパーの買い占めなどがおきたのも、第一次石油危機でした。
また、1979年にはイラン革命が引き金となって第二次石油危機が起きました。
イラン革命について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
イラン革命で成立したイラン=イスラム共和国は、欧米の石油会社(メジャー)が独占していたイランの原油資源を国有化します。
さらに、ホメイニ師は資源保護を理由に原油生産量を大幅に減らし、一時は輸出停止にさえ踏み込みました。
このため、石油価格が高騰し第二次石油危機となります。
石油価格がまたも上昇し、日本を含む石油輸入国は大きな影響を受けます。
しかし、第一次石油危機の反省を踏まえ、政府も国民も冷静な対応をとったため、社会的混乱は少なくすみました。
現代日本の電源構成
3E+S | 日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁
電気をつくるために、どのような資源に頼っているかを「一次エネルギー供給」といいます。
また、電源構成とは電力を供給するための電源の組み合わせのことです。
2018年段階では一次エネルギーに占める石油・石炭・天然ガスなど化石燃料の割合が86%、電源構成に占める化石燃料の割合が77%です。
政府は原子力や再生可能エネルギーの割合を増やすことで、化石燃料に依存する割合を減らそうと考えています。
電源構成は共通テストでよく出題されますが、この部分を苦手とする学生が結構いました。
再生可能エネルギーの利用
再生可能エネルギーとは
出典:資源エネルギー庁 制度の概要|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー
太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるエネルギーとして注目を集めています。
ヨーロッパを中心に、世界各国は化石燃料を使う火力発電から再生可能エネルギーへと切り替える動きが加速させています。
しかし、日本は諸外国と比べると再生可能エネルギーの割合が低い状態です。
利用普及を図るための再エネ賦課金
政府は再生可能エネルギーの普及を図るため、電力利用者に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(以下、再エネ賦課金)を負担させる仕組みをつくりました。
再エネ賦課金は電力会社が電力料金に上乗せする形で徴収します。
今注目の新エネルギーであるアンモニアとは?
アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
アンモニアは、以前から肥料として生産されていました。
近年は、ガスタービンの原料や石炭火力発電に混ぜて燃やす混焼材などの用途が研究されています。
アンモニアは、液化して輸送する技術が確立しているので、輸入しやすいというメリットがあります。
アンモニアは天然ガスと再生可能エネルギーで生産可能で、天然ガスに変わる国内資源を見つけることができれば、自給できる可能性もあります。
また、アンモニアを石炭火力発電所で石炭と一緒に燃焼させると、二酸化炭素を大幅に削減できることがわかっていますので、アンモニアの混焼は温暖化対策としても有効です。
まとめ
今回は、エネルギー革命についてまとめました。
エネルギー革命とは、主要なエネルギー資源が急速に交代することで、日本では石炭から石油に転換したことをさすことが多いです。
石油を中東諸国からの輸入に頼るようになった日本は、二度の石油危機に遭遇し、経済的に打撃を受けました。
世界的な温暖化対策の一環として進められる二酸化炭素排出量の削減に応じ、日本でも再生可能エネルギーへの転換が始まっています。
それと同時に、新たなエネルギー源としてアンモニアにも注目しています。
今後の研究開発が期待されますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。