「世界恐慌って何?」
「世界恐慌の背景や原因とは?」
「世界恐慌後、世界はどうなったの?」
このページをご覧の皆さんはそのような疑問を持っているかもしれません。
世界恐慌とは、アメリカでの株価大暴落をきっかけにおきた世界規模の不況のことです。
影響はアメリカにとどまらず、ヨーロッパ、そして日本にも大きな爪痕を残しました。
世界恐慌に対応するため、アメリカは大規模な工業事業を連発するニューディール政策を発動しました。
また、イギリスやフランスは自国の植民地から他国の製品を締め出し、自国企業を守るブロック経済を展開します。
その一方、第一次世界大戦の敗戦国であるドイツや植民地が英米に比べて小さい日本・イタリアではファシズムが台頭しました。
今回は世界恐慌とは何か、世界恐慌の原因、世界恐慌後の世界の動きなどについてまとめます。
第一次世界大戦の勝利と大量生産・大量消費の発展により、空前の好景気でした。
物を作れば、片っ端から売れるといってもいいくらいです。仕事がたくさんあり、街には活気がみなぎっていました。
株価は空前の高値を付け、靴磨きの少年まで株に投資していたといいます。
当時の共和党の大統領たち(ハーディングやクーリッジ)は富裕層向けの減税を実施し、お金持ちがたくさんお金を使うことで景気を良くしようと考えていました。
余ったお金はアメリカから世界各地に移動し、各国に投資されました。
また、クーリッジ大統領の時代には移民の制限も行われています。
これらの状況は、トランプ政権にも似た側面がありますね。
1929年 世界恐慌の発生
永遠に続くかに思われた好景気は、突然終わりを告げます。
きっかけは、イギリスの金利が上昇したことでした。
景気が良くなり、お金がたくさん出回るようになるとモノの値段が上がってしまいます。それがインフレです。
日本銀行やアメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)はお札が増えすぎてインフレになりすぎないよう、お金を管理する責任があります。
お金が増えすぎると中央銀行は
「やばい、お金増えすぎた!利子を高くしてお金を借りにくくしよう!」
と考えて金利をあげます。
すると株を買っている人たちは
「お金が借りにくいと企業はお金を集めにくく、成長しにくくなる。企業の力が弱くなりそうだから、株は売ってしまおう」
と考えて株を売ります。
金利が上がるとほとんどの場合、株価が下がるのはこのためです。
(ほんとうは、もっと詳しい説明が必要なのですがあえて雑に書いています)
アメリカにお金を置いておくよりイギリスにお金を預けたほうが利子が高くなる、そう考えた投資家たちはアメリカの株を売り始めました。
株価の下落に勢いがつくと、皆、自分だけは助かろうと必死に株を売ります。
結果、どんどん株が落ちていきます。
株価はわずか1週間で半額にまで下落しました。
投資家たちはパニックに陥り、世界各地に投資していたお金を引き上げて損失を埋めようとしたのです。こうして、恐慌は世界に広がりました。
1930年代 保護貿易と自国中心主義
世界恐慌が始まると多くの会社が倒産して失業者が街にあふれました。
失業した人はお金がないので、失業者が増加するとモノが売れなくなります。
モノが売れないと給料は上がりませんし、会社がつぶれるかもしれません。
その結果、さらに失業者が増えていきました。
好景気や不景気について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
世界各国は失業者に仕事を与えるために様々な政策を実行しました。
アメリカやドイツでは公共事業をたくさん行いました。
中学校の頃にならったアメリカのニューディール政策やヒトラーが実施した高速道路(アウトバーン)建設は国が仕事を作るやり方です。
日本でも、平成不況の時に公共事業をたくさんやりました。
イギリスやフランスは自分の国や植民地に外国製品を入れないよう、関税高くしました。
これをブロック経済といいます。
国内市場が大きいアメリカや植民地が大きいイギリスやフランスは外国を排除することで自国の経済立て直しをしようとしました。
一方、ドイツや日本、イタリアは植民地が小さく自国の経済もそれほど大きくありません。
これらの国は「世界の再分割」を要求しアメリカやイギリス・フランスと対立します。
世界恐慌後の経済不況で日本が実施したのが高橋財政です。
高橋財政について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
まとめ
90年前と全く同じことが起きるとは思いませんが、歴史は形を変えて、アレンジを加えて繰り返します。
科学技術が進歩しても、人間という生き物の本質が変わらないからかもしれません。
最近のアメリカと中国の対立は、互いに「自国優先」を掲げているからこそ退くに引けないという面があると思います。
しかし、ある程度のところで妥協しなければ90年前のように戦争になってしまう可能性もあります。
そうなれば、一般の日本人にとっても「他人事」では済まなくなります。
ニュースや世の中の動きを「他人事」だと思わず、関心をもって注目するべきでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。